岡本クリニック日記

岡本クリニック メンタルケア室    岡本慶子 精神科医

認知症カフェに学ぶ

京都・宇治で認知症カフェを始めた先駆者の森俊夫先生は、研修医時代からの先輩。
認知症における「入口問題」のお話に、統合失調症にも同じ事情があると思った。

「統合失調症カフェ」始動!

2年前からひそかに温めていた「統合失調症カフェ」構想。

この夏、初めていろんな人に「こんなこと考えてます」とお話したら、
「面白そうですね」「やりましょう」「手伝います」の声があっと言う間に集まって、びっくり。

主催してくれる団体が決まり、近々実行委員会が立ち上がる。

オープンダイアローグとピアサポート

さらに言えば、オープンダイアローグは多分、ピアサポート・ピアスタッフが最も力を発揮する場の一つになるだろう。
「分かり合える」感覚がこの技法の本質だろうから。
その感覚をもたらす力が当事者同士にはあるから。



オープンダイアローグと間主観性

だから、オープンダイアローグが有効であるとき、そこで回復しているのは間主観性なんだろうと思う。
だから、個々の症状ではなく一気に「なにもかもがよくなってきた」ような回復をみる。
私が前青年期的同性同世代関係の生じる病棟やデイケアで見てきたように。



オープンダイアローグとサリヴァン(3)何故有効か

サリヴァンのいう前青年期的同性同世代関係には、間主観性とか共通感覚とかいったものを回復させる力がある。病棟やデイケアで実際にそれを見た私がそう言ったら、故小澤勲先生は「そこから、統合失調症とは何なのかに考えを進めてください」と言われた。2003年のことだ。私にはとても手の届かない課題だった。

サリヴァンの技法においては、急性期の患者さんの傍らで二人の看護師が話し合うのも、前青年期的病棟運営も、ひとつながりだ。
オープンダイアローグがなぜ有効なのか。
もしそれが分かったら、小澤先生の宿題への答えに近づく。

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オープンダイアローグとサリヴァン(2)

サリヴァンによるオープンダイアローグ的治療は1920年代に行われている。おそらく周囲は「なぜか分からないけど患者さんがよくなる」と見ていただろう。
でも今なら、何故それで統合失調症がよくなるのか、その機序にちょっとは近づけるかもしれない。

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オープンダイアローグとサリヴァン(1)

オープンダイアローグについて読んだとき、まず思ったのはサリヴァンだった。

以下、中井久夫著「精神科治療の覚書」日本評論社 p.50から引用。

「入院第一夜の重要性はサリヴァンがとくに強調している。彼自身が加わることもあったというが、とにかく二人の看護師がつきそって不安の軽減につとめたという。
そして患者との対話よりも、治療者同士の対話を患者がきくという形をとったらしい。」
(引用ここまで)

入院と自宅の違いこそあれ、統合失調症の急性期に行われるオープンダイアローグと極めて似ている。

サリヴァンは今なお新しい。
前頁で述べた同病同世代同性集団の治療的意味も含めて、共感的人間関係の場が統合失調症の回復を助ける事実はもっと注目されていい。

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(文献)
*斎藤環 オープンダイアローグとは何か 医学書院 2015
*Sullivan,H.S.:Conceptions of Modern Psychiatry.W.W.Norton and Company Inc.,New York,1953.
(中井久夫,山口隆監訳:現代精神医学の概念.みすず書房,東京,1976.
訳者あとがきにサリヴァンの治療チームが詳述されている。

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