岡本クリニック日記

岡本クリニック メンタルケア室    岡本慶子 精神科医

なぜ就労支援機関を見学するか ~「振り分けられる」支援から「選ぶ」支援へ~

今年度の関係機関見学会が始まった。就労支援機関を中心に、見学してゆく。

当室のメンバーは就労希望者ばかりではない。また、いつかは働きたいが今ではないという人も多い。クローズ就労希望で支援つきオープン就労を好まない人もいる。

それでも、「こんな支援もある」という情報に接しておくのは大切だと、私は考えている。
メンバーから「就労支援機関や制度のことをもっと早く知っておきたかった」「デイケア以外にどうしたらいいのか分からなかった」「支援があると分かるだけで安心する」などの声をきいてきたから。

もちろん一般企業で働くばかりが人生ではない。ほかにもいろんな道がある。
でも、支援を知らずに「無理だから」とあきらめた人にとっては、再び可能性が広がることだってある。

早く働くほうが良いという意味でもない。働くのはその人に応じた時期がよい。それまでゆっくり過ごしたり、デイケアやB型事業所(作業所)を利用するのもよい。
その後の進路のイメージをもっていれば、次のステップにいつ進むのか、考えやすくなる。

クローズ就労もよい。ただ万一それで行き詰ったとき、支援つき就労の知識はセイフティーネットになる。

だから、「利用しなくてOK。知識として知っておくのが目的です」と見学会を案内する。
実際のところ、すぐ利用する気のない段階で見学できる機会は、そうそうないのだから。

見通しの分からないままに勧められた機関に「振り分けられる」のではなく、自分で知り考え相談しながら支援を「選ぶ」ようであってほしい。


先日は京都障害者職業センターと京都障害者職業相談室を見学した。
メンバーと家族と一緒に訪問。職員さんが4人で担当してくださって、とても丁寧に対応していただいた。
現在の雇用状況や、支援内容の説明のあと、たくさんの質問にひとつひとつ答えてくださった。

今年度の見学会は就労移行支援事業所(当事者の体験談含む)、府立高等技術専門校、就業・生活支援センター、認知機能リハビリテーション体験と続く予定。


ご結婚

もとメンバーからご結婚の報告をいただいた。
ウエディングドレスに包まれた幸せな笑顔に、胸がいっぱいになった。
一生懸命こつこつと働いていた彼女を、見ていた人がいたんだな・・・と思う。

女性に多い悩みのひとつが「婚活ってどうしたらいいかな」「出会いの機会がない」である。
でもこんなふうに、日々の暮らしのなかに出会いがひょっこり顔を出すこともある。

テレビでの統合失調症

あるテレビ番組の制作スタッフから電話があった。
こんど統合失調症の特集をするので・・・との取材だった。

このところ、テレビで統合失調症が取り上げられる機会が増えている。
それ自体は良いことだ。「知らない」ゆえに起こる弊害は大きい。

ただ方法には十分な考慮が必要だ。

メンバーの皆さんから、テレビでの統合失調症のとりあげかたに辛い思いをする、と聞くことがある。
せっかくの啓発目的の番組が「怖い病気だから早く発見しましょう」というニュアンスで、あとに残るのは「怖い病気」という印象ばかりだったとか・・・。
NHKには意欲的な取り組みがあるけれど、一方朝ドラ「純と愛」での統合失調症の扱われ方には胸が痛んだ。メンバーからも同じ思いを聞いた。

最良の報道は、当事者の(それもできるだけいろいろな方の)発言だと思う。

希望を語る 4

浜崎裕佳さんからメール。
電子書籍を出版したとの嬉しい知らせだった。


「病気の私は、私の一部です ―統合失調症と私―」


「病気だからって、人生諦めることなんてない」「社会は冷たくなく、あたたかい」「今を精一杯生きてゆく」と語りかける氏は、そう思えるようになるまでに、幾多のつらい経験をして変わってこられたのだ。

希望の見えない日々を過ごす人に読んでほしい力作だ。
http://cargo.honninaru.com/display/details.cfm?gid=30012341


 


 

無題

尊敬する先輩を見送った。
とりわけ困難な臨床現場に自ら飛び込み、生涯を走り続けてきた方だ。
病床での最後の著作にその志を託して。

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