前職は元は一般的なデイケアだった。
必要に迫られて個別就労支援を始めたとき、モデルにしたのはやおき福祉会の紀南障害者就業・生活支援センターだ。
当時ご活躍中だった故北山守典氏を中心とする実践に感嘆した。

就労に必要な準備訓練をし、企業と協力関係を築いて就職先をみつけ、ジョブコーチを含む手厚い個別支援でフォローを続ける。桁違いの高い就職率、そして就労後も安定して働きつづける人が多い。
従来の日本で福祉的就労として行われていた、一般就労に直結しない作業訓練や集団処遇とははっきり違った。のちにアメリカから輸入されたIPSとは働く現場での個別支援で共通するが、紀南では準備訓練にも力を入れており就労後の継続性がすぐれていた。

北山さんには、デイケアメンバー一同で見学に行った折に説明していただいたり、就労支援関係の会合で何度かご一緒した。温かい、ざっくばらんな語り口。借り物の理論には無縁なお人柄。
実践のオリジナリティーと熱意は、現実を見る透徹したまなざしに裏づけられていた。