恩師・松本雅彦先生が昨年夏、ご逝去された。

昨秋のこと。
待ち合わせの時間つぶしに立ち寄った小さな書店の一角に
遺作となった「日本の精神医学この五〇年」(みすず書房)があった。
ご逝去後の出版である。

精神医学の専門書が置いてあること自体、意外に思える規模の書店。
先生はマスコミに売名する方ではなかったから、世間に売れる本ではない。
それがこちらを見るように、正面を向けて陳列されていた。

昔から論文を書かない私に、繰り返し書くようにと促してくださった。
最近は私に黙って、出版社に当院の資料をわざわざ送っておられた。

控えめなのに実は教育熱心な先生が、気まぐれに降りてきて下さった気がした。

松本雅彦先生のご著書から
心は心でしか分からない