恩師・松本雅彦先生が昨年ご逝去された。
ずっと前に書いた、M先生である。

遺著 「日本の精神医学この五〇年」 松本雅彦著 みすず書房 2015年 から・・・

(以下引用)
「イエスかノーかの二分法にはすでにこの時点で評価者の主観が強く入り混じること、このような二分法を積み重ねてゆくことが真に客観的な評価になりうるか・・・など、この種の操作方法から生まれた症状評価尺度表の功罪…(後略)」 p.156

「昨今Evidence Baced Medicine(EBM(エビデンスに基づく医療))がしきりに喧伝されている。統計学の素人ではあるが、このEvidenceがいったいどこから導き出されるのか、それらが本来の意味での科学的客観性をもちうるのか、どうしても疑わざるをえない。」 p.169

「心は心でしかわからない。」 p.206
(引用ここまで)

かつて精神医学では主観的評価の弊害がいわれ、「客観的」「エビデンス」の名のもとに、評価の数値化、統計化、横断面重視、細分化した個別症状評価への流れがおこった。
そこで見誤ったり見失ったものがどれだけあるか、今はまだ分からない。

先生は最後に渾身の異議申し立てをして逝かれた。