岡本クリニック日記

岡本クリニック メンタルケア室    岡本慶子 精神科医

恩師

無題

尊敬する先輩を見送った。
とりわけ困難な臨床現場に自ら飛び込み、生涯を走り続けてきた方だ。
病床での最後の著作にその志を託して。

M先生

恩師M先生は、決して偉そうにされない。
患者さんに対しても私たち若輩に対しても、いつも静かに控えめに接してくださる。

そんな先生が珍しく、あるテーマで臨床論文を書くようにと何度も促してくださったことがある。昔、大学病院にいた頃だ。
筆不精でなかなか手をつけない私に、先生はたびたび「あれ、書いてる?」と尋ねてくださった。
粘り強い促しのおかげで、いつかは書こうと思いつづけることができた。そして10年もたって、ようやく書き上げた。そんなにお待たせしたのに先生は快くご校閲くださった。そして、そのテーマは以後の私に大きな影響を与えた。

70代半ばになられた先生は、今も私を思いがけない出会いに導いて下さったりする。
人生の要所を方向づけて下さるご指導に、感謝は言葉につくせない。

K先生

「精神科外来診療所研究会」の演者として、話す機会をいただいた。
私が昔から尊敬するK先生が自腹を切って開催されている、京都では知る人ぞ知る研究会だ。
K先生は診療とともに、薬害や公害、環境問題分野でも活動され、今は原発問題に力を入れておられる。

研修医時代、何度も診察を見学させていただいた。
薬に造詣が深く、種類も量も絞り込んだシンプルな処方と、的確な生活指導。深入りをしないあっさりした治療関係なのに患者さんからの信頼が篤かった。

今年80歳になられたK先生は、活動報告をした私に「あなたの夢は何?」と尋ねられた。「若い人には夢を持ってほしい」と。
私の夢はまだ形が見えない。日々の仕事に取り組むうちに、だんだん形が見えてくるものだと思っている。
でも忙しくしていると、夢の形を追うことを忘れそうになる。

K先生はそんな質問をしてくださる方なのだ。





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